厳密にいうと、インプラントと骨は結合しません。
インプラントと顎の骨は両者が強固に「接着(接合)」することで天然の歯とほぼ同じように噛むことが出来ます。
二つ以上のものが結びついて一つになることが「結合」であり、金属であるインプラントと生体である骨が、結びついて一つになることはありえません
インプラント体(チタン)と骨が結合することを、骨を表すラテン語 「os , ossa」と、統合を表す英語の「integration」( インテグレーション )が組み合わせオッセオインテグレーション ( osseointegration ) といいますが、
インプラントと骨がダイレクトに接着しているわけではなく、プロテオグリカンという50nm(ナノメートル)程度の厚みをもつ無定型構造物を介して、両者が接着します。
このプロテオグリカンは糖としてのグリコサミノグリカンに非コラーゲン性のタンパク質が結合したもので、チタンという「金属」が生体である「骨」と接着するためには、このような非コラーゲン性タンパク質の存在が必要だと考えられております。
非コラーゲン性タンパク質には、骨芽細胞から産生される(※1)オステオカルシンや(※2)オステオポンチンが含まれており、これらの無定型構造物層がチタン表面の酸化膜に結合しているカルシウムと結合し、骨組織側では骨芽細胞のインテグリン、あるいは骨や類骨のカルシウムと結合して、両者を橋渡ししています。
※1、象牙質や骨にみられる非コラーゲン性の骨Glaタンパク質
※2、象牙質や骨にみられる非コラーゲン性のリンタンパク質
HA(ハイドロキシアパタイト)系のインプラントシステムの場合、チタン表面の酸化チタン膜がHAのようなリン酸カルシウムであるために、HAと骨組織とをカルシウムが直接つないでいきます。
初期におけるインプラントと骨の結合のプロセスにおいては、HA系インプラントの方が有利であると言えます
※当医院ではカルシテック(Zimmer社)を取扱っております。
インプラント埋入後、骨と結合する期間は、使用するインプラントシステムや骨の状態によって差がありますが、およそ2〜3ヶ月前後と考えていただくと間違いありません。 ただし骨の量が少ない部位などは、4ヶ月〜6ヶ月かかるケースもあります。
インプラントと骨の結合様式は、創傷の治癒である免疫反応と同じように、血液が存在しインプラント表面に血小板が付かないといけません。血小板が粘着することで、血液が凝固し治癒の初期反応が起こることで、骨をつくる細胞を呼び込むなどの成長因子が活性化していくのです。
ですので血が固まらないことには、創傷治癒の次のステージには進みません。
血液中には止血するために13番までの因子があり、通常だと順序よく因子が働くのですが例えば第8因子欠乏の血友病であるとか、血をサラサラにする薬を飲んでいる場合などにはこれらの因子が働かないわけですから注意が必要となります。
ちなみにインプラントの表面は骨の創面と似た構造である方が良いし、その点でチタンよりもアパタイトの方が適していると言えます。